アトレイアの支配を目論む龍族の魔の手に落ちたのはポエタだけではなかった。
ポエタが暗黒と化す前から、アビスを恐怖に震えさせていた龍族最先端の戦闘艦ド
レドギオンが最近になり頻繁に出没するようになっていた。
ドレドギオンの影は龍族の攻撃を意味し、必ず破壊と死がつきまとった。
要塞を守るために飛び立ったディーヴァ達は、ドレドギオンに近づくことも許されぬまま
アビスの闇へと墜落していった。
ドレドギオンの弱点を見つけるために、数え切れないほどのディーヴァとレギオンが死をも辞さずに挑んだが、彼らを待っていたのは死と復活のみ。ドレドギオンについての情報すら掴むことはできなかった。
「これ以上の犠牲をだまって見ているわけにはいかん!
ドレドギオンを陥落させなければ、アビスだけではなくアトレイアまで龍族の手中に落ち
てしまうぞ!」
接近するすべての敵を一網打尽にすることができる強力な武器を備えたドレドギオン
を陥落させることは不可能にさえ思えた。
しかしかろうじて魔法の力でドレドギオンに進入する通路を見つけ出すことに成功した。
天族と魔族はドレドギオンの弱点を見つけるために、学者とガーディアン、アルコンで構成された調査団を送り込んだ。
彼らはドレドギオンを始末する方法を必ず見つけ出すという覚悟を胸に、出陣していったが再び戻って来ることはなかった。
調査団から最初で最後に送られた情報は次のような内容だった。
「ドレドギオンは外側の装備に比べて内側が完璧ではありません。
ですから外側から攻撃するよりも内側に潜り込み攻撃を仕掛けるほうが効果的です。
そしてドレドギオンを指揮しているのは艦長アドハティです。
奴さえ倒してしまえば、ドレドギオンは瞬く間に混乱に陥るでしょう。
ドレドギオンを指揮する司令室の動力スルカナを破壊すれば、ドレドギオンを完全に陥落させることができるに違いありません。」
ドレドギオンの内部設備に関する詳しい情報はないが、それを待っている時間はなかった。
捕虜となった調査団の安否も気遣われ、彼らから情報が漏れることも防がなければならなかった。
ついにエレシュランタの総司令官は優秀なディーヴァを選びドレドギオンへの進攻任務に投入することを決意した。ドレドギオンにいかなる危険が潜んでいるかは知る余地もなかったが、艦長アドハティを倒し、司令室の動力スルカナを破壊することが唯一ドレドギオンを陥落させる方法であることは確実だ。
お互いの状況はわからないが、天族と魔族はドレドギオンに進攻する準備を整えた。
天魔はドレドギオン内部でも宿命的な激戦を避けることはできない。
龍族と敵対種族からの攻撃をかいくぐり「艦長アドハティ」と動力「スルカナ」を破壊し、ドレドギオンを使ってアビスを征服しようと目論む龍族を退治して英雄となるのは、果たして誰なのか。共通の敵を前にお互いに剣を突き合わせる天族と魔族のディーヴァの運命やいかに!?